腐食、熱膨張や熱収縮、乾燥収縮、施工の失敗、機械的摩耗などの複雑な補修に対応することは、やりがいのあることです。そうした問題には当社のチームが試行錯誤の精神をいかんなく発揮しながら、特注の耐火アンカーで解決を図ります
新しいソリューションを開発する際、ブレインストーミングとアイデア出しのプロセスの重要な部分となるのは、トライアンドエラー(試行錯誤)です。トライアンドエラーを非効率的とみなし、結果が見えない状態で時間とリソースを消費するのを恐れている企業もあるかもしれません。しかしSILICONのエンジニアチームの場合は、これをイノベーションの象徴とみなし、進歩していくためには必要不可欠であると認識しています。
「ブレインストーミングとアイデア出しを進めるにあたって、私たちはまずお客様の問題を深く理解することから始めます。あり得るソリューションを考え出すために、私たちは、要件、制約、現実の課題について時間をかけて分析します。すぐに完璧なコンセプトを目指すのではなく、迅速なアイデア出しを優先し、早い段階で複数のソリューションを開発します。そうすればお客様を速やかに巻き込んで、フィードバックを頂ける体制をできるだけ早く確立することができるのです。
実際のユーザーの意見に基づいてアイデアを反復させながら、お客様特有のニーズや好みに合わせてデザインを効果的に確実に進化させることができるのです。」Mink(ミンク) - プロダクトデザインエンジニア
この哲学には「イノベーション」と「顧客中心の設計」に対する当社の姿勢がよく表れています。当社のソリューションは実用的であり、お客様が直面している稀にしか起こらない課題にも合わせた対応ができることをお約束します。
写真をよくご覧いただくと、お客様独自の要件を満たすために入念に作られた、真新しい特注品のSpeedBolt®であることがお分かりいただけるでしょう。この大切なお客様は、2015年から当社とパートナーシップを結んでいます。今回は、アンカーの注文だけでなく、Rapidアーク溶接施工を含む新しいアンカーソリューションのご相談もいただきました。お客様のご要望を完全に理解するために何度もミーティングを重ね、最終的なソリューションを開発するまで約2週間かかりました。
問題:お客様は3層構造の耐火ライニングに適したアンカーを必要としており、各層をどこに打設すべきかを容易に判別できる仕様が求められていました。それぞれの層がどの位置で終わるかを明確に示す視認性の高い基準点が必要でした。
ソリューション:私たちは、施工中に目視確認できるアンカーを設計・製造し、最適な保持力を確保しながら、お客様が自信を持って各層を正確に打設できるようにしました。新しく設計し直した結果、お客様の要求に見事に応えることができました。
既存の耐火アンカーの緊急代替品が必要な時に自社の製造方法では期限内に間に合わせることができない場合、SILICONはソリューションを提供することができます。こちらのお客様は、1982年からのお付き合いで当社との信頼関係があります。緊急ソリューションにおける当社の専門知識に信頼を置いていただき、ご相談くださいました。当社のエンジニアチームは、効果的な代替品で対応するために何をすべきか正確に把握していました。
問題:通常、このようなケースで使用されるのは、鋳造品です。しかし今回は、製造に時間がかかるため使えません。
ソリューション:当社で対応できる材料と道具を使って、製品を考え直す必要がありました。そして、プレートとワイヤーで作った代替品を提案しました。鋳造アンカーでは到着まで6週間以上かかるところ、当社がご提案した代替品はわずか1週間で完成しました! しかも新たに製作したアンカーは曲げ性能が向上しており、より適応力のある製品となっています。
腐食の問題こそは、当社が業界のソリューションの革新と改良に取り組み続ける主要な原動力のひとつです。腐食への対応は重大な問題で、当社製品の寿命と信頼性の確保のためにも創造的で効果的な対応が求められます。このお客様は2017年からお付き合いがあり、当社の専門知識にはゆるぎない信頼をお寄せいただいております。お客様が自社ユニット内で高腐食性の問題にぶつかったとき、私たちには迅速に対応しなければならないことはわかっていました。このアンカーに対するアイデアはわずか2日で考えつくことができ、実際の現場で優れた成果を発揮するソリューションを迅速に考案できる、当社チームの能力の高さを示しました。問題:お客様は、硫黄回収ユニット(SRU)の高腐食性の問題に直面していました。
ソリューション:このアンカーには、違ったデザインを考え、より長持ちする素材を選びました。アンカーはチューブシート用に設計しました。3本のパイプに囲まれた中央位置にアンカーを設置し、耐火材がチューブシートに120度の扇形に施工された状態で、そのアンカーがしっかり固定されるようにしました。
Crookアンカーのご紹介です! こちらのお客様は、ユニット本体に直接アクセスできない状況でアンカーを施工しなければなりませんでした。この時開発した耐火アンカーは、構想から最終形状の完成まで、わずか2~3週間で完了しました。最も難しかったのは、適切な半径と段差を実現することでした。そのため、アンカーを3Dプリントし、実際の設置場所でフィットテストを何度か行いました。
問題:これらのアンカーの施工は、シャットダウン期間を設けずに行うべきだったのです。お客様が施工のためにユニット内部にアクセスすることはできなかったため、外側からアンカーを取り付ける方法が求められました。
ソリューション:私たちは耐火物を鋳造するプロセスを外側から再現することを目指しました。アンカーは、シェルにあらかじめ開けられた穴を通して取り付ける必要がありました。穴が大きすぎるとシェルの構造強度を損なううえ、後で塞ぐ手間も発生します。V型アンカーでは必要な開口径が大きすぎて適しません。質量と広がりがV型アンカーと同等のアンカーを用意し、穴のサイズを最小化しました。波形部(コルゲーション)の曲率は、最小直径18mm・板厚25mmを通せるよう設計されており、必要なアンカー被覆範囲を確保しています。アンカーは穴の外側でバックプレートに溶接され、このバックプレートが穴のカバーの役目も果たします。
数年来のお付き合いのあるお得意様からは、特殊な耐火ライニングに適した特注ソリューションのご要望もありました。
問題:お客様は、厚さ1メートルを超える非常に厚い耐火ライニングのソリューションを必要としていました。
ソリューション:当社のチームは、1.25メートルのSpeedBolt®という、単純明快で画期的なソリューションを考案しました。特段に厚い耐火ライニングに必要なサポートを提供するために特別に設計された、特注のSpeedBolt®です。
「この40年間で、私たちは幅広い専用工具や治具、金型類を蓄積してきましたので、多種多様な製品を効率的に製造できる体制が整っています。CNCワイヤー曲げ加工、CNC旋盤加工、レーザー切断などの最新技術も採り入れており、頭の中で考えつくものであれば、ほとんど何でも製造することができます。」
Koen van Mil(クーン・ファン・ミル) - 製造・工具エンジニア
こちらの記事でご紹介した事例がSpeedBolt®の改良から始まり、別の改良で終わっていることからもおわかりのように、どのような耐火物の問題であっても、何らかの耐火物ソリューションがございます。SILICONのエンジニアチームは、お客様のための革新的なソリューションを見出すことに全力を振り向けています。こうした課題に効率的に向き合う方法を心得たエキスパートの存在は、貴社の会社全体の成功に根本的な好影響をもたらします。